「ウィッグの試着なんて簡単!」、経験のない人はおそらくそんなイメージしか抱いてないでしょうが、意外にも試着を通した不愉快な体験は多いのです。私の場合は普通のファッション用ウィッグで2回、母は抗がん剤治療のための医療用ウィッグで1回ありました。母のケースはひどいもので、「急いで試着したい」と電話で申し込むと、ウィッグ販売店の担当者が自宅まで持参してきて、その場でウィッグの試着会がはじまりました。最初は丁寧で親切、いいメーカーさんだと思っていましたが、いろいろ細かく話し込まれて2時間経っても、帰ってくれませんでした。
正直、医療用のウィッグとしては重たくて不自然。それに「カットやアレンジは無料でさせていただきますが、ご購入していただかないと」という話になったので困り果てました。母も入院前で精神的に疲れていたこともあったので、仕方なく契約書・注文書にサインをして、3時間後にようなく帰っていただいた次第です。私はこの体験を「張り付き型」の試着体験と名付けています。いわゆる体のいい押し売りみたいなものです。私のケースはファッション用ウィッグの店頭試着で、無理やり高額な製品をすすめられ、予算がないと断ると、他にはない手厚いアフターサービスの話などを延々とされ、結局は私のほうからケンカ腰で店を飛び出しました。そんなことが違うメーカーの販売店を含め2回もあったのです。
そうした嫌な思い出を抱えていましたが、母が2度目の抗がん剤治療を受けるというので、仕方なくネット通販で、ふたたび医療用ウィッグを探すことにしたのです。最初はどうせ嘘だろうと思っていました。「自宅試着無料」、「返品自由で返品送料無料」、「カット・アレンジ無料」、ウィッグの価格は「28,300円から」などと、イイコトづくめの殺し文句がサイトに並んでいたからです。入院までに20日間ありましたが、気はせいていましたので電話で問合せをしてみました。「サイトに書いてあることはホントなの?」、「試着したら買わなきゃダメじゃないの?」、「製品の満足度が高いというグラフは信用していいデータなの?」、「試着していて催促の電話ってかかってくる?」、「入院まで10日間しかないけど、アレンジも無料で間に合わせてくれる?」と日数は嘘を言って急がせました。「気に入らなかったら返品するわよ?それもホントに無料ね?」
通販の試着では悪いイメージしかなかったので、初めからヒートアップして、そんなことをまくしたてて聞いてしまいました。ところが電話に出た方がとても冷静な方で、すべてに明快な答えを返してくれたうえ、オーダーした「シルフィ」という製品は、なんと翌日に自宅に届き、試着してこちらから電話を入れるまで、アンベリールからは催促のような連絡は一切ありませんでした。思う存分試着して、着け心地がすごく良かったのと軽かったことで、母は「これで3万円しないのなら、騙されたっていいよ」と購入を快諾してくれました(笑い)。過去の体験を吹き飛ばしてくれるほどの、感動的な出会いと出来事でした。ほんとうにありがとうございました。すごい剣幕で問合せしてしまったことを恥じています。