医療用ウィッグを選ぶということは、試着できるメーカーを選ぶのと同じ意味をもちます。「どこのメーカーでも試着できるのが当たり前だ」という声がきこえてきそうですが、たとえば、「サロンに行って」、「商品を見せてもらって」、「被る」という程度の試着では、試着と呼べません。
医療用ウィッグの場合は、運動や散歩、リハビリが付いて回るので、“似合うかどうかを確かめる程度の試着”では役に立たないのです。一定期間日常使いしてみて、そのなかで フィット感を確かめたりウィッグ内の蒸れ具合やズレを確認したりするものです。
蒸れてズレる、頭が重くて違和感がある~。そのようなウィッグでは、長く着けていることができなくなるので、結局は外出する気力が低下し、日常生活の取戻しや社会復帰が遅れてしまいます。
上記のような基本事項がわかるのも、数日かけて日常使いした後です。蒸れる、ズレる、アジャスターに不具合かある、ウィッグの着脱がスムーズにいかないなど、そのつど細かくメモしておき、メーカーに電話で問い合わせると良いです。
購入したメーカーで正確な回答が得られなかったら、他社に問い合わせてみるのも一案です。自社製品での問い合わせがあった場合、メーカーはどうしても責任を回避することを第一に考えてしまうので、自社のミスより利用者の扱いの悪さなどを前面に立てて話してくることが多いです。
医療用ウィッグの製品の大半は職人の手作業でできています。ベースネットの縫製やアジャスターの縫い付け方などで、機能性は大きく変わってきます。それを実際に手に取り、具合を確かめるのが試着です。
家族や友人・知人などにも何気なく被ったときの状態をみてもらい、好評であるなら購入を決める、アレンジをしてもらうというステップにすすみましょう。鏡の前でちょっと被って「お似合いです」と言ってもらうのが試着ではないということだけは認識しておきましょう。