医療用ウィッグの通販のことで友人に相談していたら、「最近の通販は昔と違ってずいぶん質が良くなったわよ。試着無料って書いてあるなら頼んじゃいなさいよ。気に入らなかったら返品も無料なんでしょ」と言われたので、気持ちにケリがつきました。私は過去にネット通販でイヤな思いをして、それ以来、ネットでの通販を敬遠していたのです。しかしよく考えてみると通販雑誌もネットもテレビも、品物を売っている以上通販であることには変わりなく、それを嫌って店舗で試着したとしても、品質のいい悪いというのは別問題、どんな手段で購入しても同じなのです。通販だから悪いとか騙されると決めつけるのは時代遅れな感覚だと気づきました。
それで思い切って試着を申し込んだのが、アンベリールという会社の「シルフィ」というブランド名の医療用ウィッグでした。サイトを見ていていちばんに目が止まったのは、「長時間でも快適な着け心地!」というキャッチフレーズでした。ウィッグを被った人ならわかると思いますが、フィット感のない、いつズレたり落ちたりしてしまうのかわからないウィッグは、不安で前向きな気持ちを半減させてしまう根源のようなものです。歩いている時も、石段を上り下りした時も、人とバッタリ出会って軽く会釈した時も、もしかしたらと思わず頭に手が行ってしまいます。それがまた普通の人から見ると、不自然な動作に映って怪しまれそうです。そうやって気疲れし、ウィッグ恐怖症、ウィッグ拒否症のような気持に襲われたことがあります。
アンベリールさんに電話連絡したときは、包み隠さず、そのような体験を話しました。「大丈夫ですよね、ズレたり落ちたりしませんよね。長時間使用可能とか重さ約70gとサイトに書いてあるけど、表記に嘘はないですよね」。そんな調子で言いたいことを言って、「返品してもいいんですよね、費用は負担していただけるのですね」、「とにかく無料なら試してみます」と、念押しをしながらオーダーしました。たぶん印象の悪い、イヤな客だったと思います。しかし届いたのは申し込んだ翌日の正午、そのはやさにまず驚きました。梱包を開けて、スッポリ被ってみると、これがまた手間なくニット帽を被るように装着できてしまったので二度目のビックリを体験しました。
さらに私がぞっこん惚れ込んでしまったのは、頭に被ったときのフィット感でした。この段階で私はすでに購入を決めていましたが、同社のシルフィのサイトを改めて開き、実際のウィッグを片手に細部まで検証してみました。サイトには「独自の超立体縫製」と説明書きがされていて、人間の頭の形にピッタリくるようなネット部分の写真も掲載されていました。ズレ防止のワンタッチピンとサイズ調整ができるアジャスター、横はね防止のサイドステイなども、写真入りで説明されているとおりでした。ベースにはネットしか使われていません。とんでもなく軽いということと、これらの機能が一体化していることで、「長時間でも快適な着け心地」というフレーズになったのでしょう。「試着はご納得のいくまでどうぞ」ということだったので、散歩したり買い物したり、ストレッチしてみたり、気が済むまで外出してみました。アンベリールさんのサイトに嘘はなかったです。医療用ウィッグにお困りの方がいたら、ぜひ試着してみてください。