ファッション用のウィッグを被るときは楽しみのほうが大きくて、不安感などほとんどない。気に入らなければショーケースの隣にある別のウィッグを手に取ればいいし、そうやってアレコレと試着するのも楽しみの1つだからです。
奇抜であろうが派手であろうが、本人がイメージチェンジを目指しているなら、過去と未来のギャップを楽しむのもファッション用ウィッグを試す際の貴重な体験になります。しかし医療用ウィッグはどうでしょうか。選ぶ楽しみ、試着するときのワクワク感など、ほとんどゼロに近いのが患者の気持ちの正直なところです。
結局、実店舗で買うにしても通販で買うにしても、医療用のウィッグは、「患者の不安感をどう解消してくれるのか」が問題。同じウィッグなのに、病気に縁のない人は楽しみ、闘病中の人はウィッグ選びでも不安感に教われているという違いは不公平としか言いようがありません。
医療用ウィッグに望まれる課題解決数は、ファッション用とは比較にならないほど多くてメーカーには気の毒。フィット感・着け心地、通気性、軽さ、ズレないことなどに加えて、どうしても上記のような“患者の試着時の不安感”だけは解消してもらいたいと。
おそらくそれは、ウィッグメーカーの「コンサルティング力、カウンセリング力、サポート力」にかかっているのではないかと思います。たとえばここ数年で支持層を増やしているアンベリールのシルフィという製品は、試着時の患者からの問い合わせ、カッティングやカールの要望、その他ウィッグに関する不安感や不満にも無条件で対応してくれると評判です。
気に入らなければ返してしまえばいい、取り替えてもらえばいいという思いにも、通販であるのに無料で引き受けてくれます。とどのつまり、製品の機能性や品質はいいのが当たり前で、患者の不安感の大半は、メーカーの対応力にあるのかも知れません。
たいへんかも知れませんが、患者の不安解消でもトップメーカーにもなってもらいたいと切望しています。