多くの女性は、「試着しても今ひとつしっくりこない」という感想をもちますが、しっくりくるかどうかは“似合うかどうか”なので、試着の段階でしっくり感を得るのはむずかしいです。試着とは店頭や通販で手に取ったウィッグなので、自分に合うようなアレンジ(カール、ウエーブ、髪の短さ、減毛調整など)ができていません。
試着には2つの視点があります。1つはフィット感やウィッグの機能を確かめること。もう1つは自分に似合うかどうかを確かめることです。店頭の試着では販売員などへの遠慮もあって、妥協してオーダーしてしまう人が多いようです。通販では試着品を被っただけで似合わないと思い込み、返品してしまう人もいます。
2回目の試着までに大事なことは、「こうしてもらいたいヘアスタイル」を具体的に提示することです。とくに医療用ウィッグの女性は、自分が脱毛する前の髪型がわかる写真や画像を示すことが大事。口でいくら説明しても想像する髪型には違いがあります。一度カットしたり減毛したりしてしまうと元には戻らないのでご注意を。
同じウィッグでも人毛と人工毛、ミックス毛とではカットのテクニックに違いがあります。現在のウィッグは、人毛と人工毛を適度にあわせたミックス毛が多いので、その扱いに慣れたヘアスタイリストでなければ仕上りに違いがでます。その反面で、ウィッグしか扱っていないヘアスタイリストでは、人毛経験(美容サロンでの経験)がないので、決まり切った仕上りになってしまうことが多いです。
人毛経験のないヘアスタイリストとは、ウィッグの会社が新入社員を教育して、ヘアスタイリストに仕立てたスタッフのことです。極端な話、その会社のモデルしか扱っていないので、“カットの仕方もウエーブのかけ方もマニュアルどおりの基本”から大きく外れることはできません。イマジネーションという点で、物足りなさが残ります。
そうは言っても、一般の人がどんな経歴をもつヘアスタイリストなのかを調べることは無理なので、最低限、先にお話ししたような2つの試着の視点だけは覚えておきましょう。そして似合うかどうか(2つめの視点)は、ヘアスタイリストの腕次第、あえて言えば、それをバックアップするのは利用者の具体的な指示です。